企業型DCはやるべき? 預金のまま放置せず、インデックスを選ぶ理由

朝の光が差し込む、街路樹の続くオフィス街の歩道の水彩風景
「会社の企業型DC、入ってはいるけど中身はよく分からない」
「ほったらかしのまま、何年も経ってしまった」

会社員に用意されることがある、老後資金のための器。それが「企業型DC(企業型確定拠出年金)」です。でも、せっかくの制度を"ひとまかせ"にしたままだと、自分に合う運用になっているか分かりません。投資歴約7年・40代の私が、この企業型DCとどう向き合っているのかを、正直にお話しします。

増やす力シリーズも、いよいよ「応用・出口」のステップに入ります。

前回の書評『マネーの公理』では「リスクと意思」の話をしましたが、今回は身近なテーマ。会社員なら一度は耳にする、企業型DCです。


NISAを始めてから、会社の制度に気づきました

順番が逆でした。

私が企業型DCの中身をはじめてちゃんと見たのは、自分で投資を始めてからのことです。

新NISAで積立を続けるうちに、ふと思いました。「そういえば、会社にも似た制度があったな」。

入社時に説明を受けた記憶はあります。書類にも記入しました。でも、そのあと開いた覚えがありません。あるのは知っているけれど、中身は知らない。 そんな状態が、何年も続いていました。

給与明細に載るわけでもないので、日常では思い出しません。気づくきっかけがなかったというのが、正直なところです。


開けてみたら、預金のままでした

そうして久しぶりに口座を開いて、少し驚きました。

元本確保型のままだったのです。定期預金や保険といった、増えない代わりに減らない商品。それがずっと積み上がっていました。

自分で選んだ記憶はありません。おそらく、初期設定のまま何年も動かなかったのだと思います。

考えてみれば当然でした。誰も「見直しましょう」とは言ってくれません。放っておけば、初期設定のまま続く。 そういう仕組みだったわけです。

そのときの気持ちは、後悔というよりもったいなさでした。同じ期間、新NISAではインデックスファンドを積み立てていたのに、こちらは止まったままだった。同じ「自分のお金」なのに、扱いがまるで違っていました。


制度のところは、短く

ここで制度を整理しておきます。他でも読める部分なので、要点だけにします。

企業型DCは、会社が掛金を出し、運用商品を自分で選ぶ老後資金づくりの制度です。受け取れるのは原則60歳以降。

似た制度にiDeCoがありますが、「自分で加入して自分で出す」のがiDeCo、「会社の制度として用意され、会社が出す」のが企業型DCです。

そして、いちばん大事な一点。

掛金を出すのは会社。でも、何で運用するかを決めるのは自分。

私が何年も見落としていたのは、まさにここでした。用意されているのは器だけで、中身を選ぶのは自分の仕事だったのです。


預金から、インデックスに変えました

中身を見たあと、私がやったことは単純です。新NISAと同じ考え方で、選び直しました。

いま選んでいるのは、外国株・全世界株のインデックスファンドが中心です。投資のコアにしているオルカンと、ほぼ同じ考え方になります。

器が2つあるからといって、方針まで2つ持つ必要はないと考えたからです。会社の制度だから特別なことをする、という発想は取りませんでした。私にとって企業型DCは、特別な必殺技ではなく、もうひとつのインデックス積立の場所です。

選び直してよかったと感じているのは、引き出せないことが、かえって効いている点でした。

企業型DCは原則60歳まで引き出せません。不便ではありますが、暴落が来ても売る選択肢がそもそもない。感情で動く余地がないわけです。

新NISAのほうは、売ろうと思えばいつでも売れます。実際に売ったことはありませんが、「売れる」と「売れない」では、相場を見るときの気持ちが少し違うと感じています。

放置していた数年は完全に無駄でしたが、いまは新NISAとは性格の違う器として、それなりに気に入っています。


マッチング拠出という、もうひとつの"上乗せ"

企業型DCには、会社が出してくれる掛金に、自分のお金を上乗せして拠出できる仕組みが用意されていることがあります。これをマッチング拠出といいます。

「会社の掛金だけでは、ちょっと物足りない」「もう少し、老後資金を増やしておきたい」── そんなときに、自分の意思で掛金を上積みできる制度です。

実は、私もこのマッチング拠出を活用しています。会社が出してくれる掛金に、自分の上乗せ分を加えて、新NISAとは別の財布で、老後資金をコツコツ積み増している。そんなイメージです。

マッチング拠出の、うれしいところは2つあります。

  • 自分が上乗せした掛金は、所得控除の対象になる。新NISAにはない、課税所得を抑えられる仕組みがあります。
  • 給与天引きの感覚で、無理なく自動で積み立てられる。意識しなくても続くので、ほったらかし投資とも好相性です。

もちろん、ルールもあります(細かな上限は会社の制度によって異なるため、ここでは断定を避けます)。

  • 以前は「自分の上乗せ分は、会社の掛金を超えられない」という決まりがありましたが、2026年4月にこの上限は撤廃されました。いまは会社の規約が認めていれば、会社の掛金を超えて上乗せすることもできます。
  • ただし、会社の掛金と合わせた合計の上限は変わらずあります。どこまで出せるかは、お勤め先の規約で確認してみてください。
  • そして、企業型DCで加入者掛金(マッチング拠出)を出している場合、iDeCo(個人型)との併用はできません。2022年10月の改正で企業型DCとiDeCoの併用そのものは可能になりましたが、マッチング拠出を選んでいる人は、どちらかを選ぶ形になります。ここは、私がどう考えているかも含めて、次回のiDeCo編でお話しする予定です。

私の場合、ここは迷いませんでした

理由は単純です。給与から天引きされる形なので、手を動かす必要がないから。新NISAの積立は自分で設定し、金額も自分で管理しています。マッチング拠出は、一度決めればあとは勝手に続きます。

預金のまま何年も放置していた人間が言うのも変ですが、「自分で判断しなくても続く仕組み」は強いと実感しています。放置して失敗した経験があるからこそ、そう思うのかもしれません。

もうひとつ、上乗せ分が所得控除の対象になるのも大きい。新NISAにはない仕組みなので、器の性格が違うと考えて使い分けています。


企業型DCで、私が意識していること

実際に運用するうえで、私が気をつけていることを、いくつか挙げておきます。

  • デフォルトのまま放置しない。まずは「いま何で運用しているか」を確認する。
  • インデックスファンドを中心に選ぶ。広く分散された、長期向きの商品を軸にする。
  • 手数料(信託報酬)を見る。同じような中身なら、コストの差は長期で効いてきます。
  • 年に一度くらい、状況を確認する。毎日見る必要はないけれど、放置しっぱなしにもしない。

そして、もうひとつ大事にしているのが、新NISAとの役割分担です。

同じインデックス投資でも、「引き出しやすい/引き出しにくい」で役割を分けて考える。これが、私の整理のしかたです。


注意したいこと

最後に、企業型DCの"注意点"も正直に書いておきます。いいことばかりではありません。

  • 原則60歳まで引き出せない。だからこそ、生活に必要なお金まで入れてはいけません。投資に回すお金とは別に生活防衛資金を確保し、すぐ使うお金は別に置いておくことが大前提です。
  • 転職・退職のときは、手続きが必要。そのままにしておくと不利になることもあるので、移し替え(移換)の手続きは忘れずに。
  • 選べる商品は、会社によって違う。良いインデックスファンドがあるとは限りません。用意されたラインナップのなかから、ベターな選択をすることになります。

こうした制約を理解したうえで、引き出しにくいお金(DC)と、動かしやすいお金(NISA・預貯金)のバランスを取る。そこを押さえておけば、企業型DCは老後資金づくりの有力な選択肢になります。


まとめ:放置せず、自分で選ぶ

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

企業型DCは、会社員に用意されることがある、老後資金の器です。会社が掛金を拠出し、運用益は運用中非課税で、長期投資とも相性があります。

それなのに、初期設定のまま放置されて、力を発揮できていないことが少なくありません。

「入っているかどうか」ではなく、「何で運用しているか」。そこを、自分で選ぶ。

私がしているのは、難しいことではありません。新NISAと同じ方向で、外国株インデックスを軸にコツコツ続けているだけ。器が変わっても、軸はぶらさない。それだけです。

次回は、企業型DCと名前の似た、iDeCo(個人型確定拠出年金)を、私がどう考えているかをお話しする予定です。

🌱 最後に、ひとつだけ

お勤め先に企業型DCがあるなら、いま自分が何をいくら買っているか、一度ログインして確認してみてください。初期設定の元本確保型のまま、という方は意外と多いものです。まず現状を知るところからで十分です。

明日もまた、歩きながら考えます。


🚶 はいと
40代・4人家族のビジネスパーソン。
毎朝、歩きながらお金と人生のことを考えています。

※本記事は筆者自身の経験と考えをまとめたものです。制度の詳細は変更される場合があるため、最新情報はご自身でご確認ください。投資は元本割れのリスクを伴います。最終的な判断はご自身の責任でお願いします。


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