【家計見直し実践編】医療保険・がん保険 ── 月9,567円から月1,300円へ

白い救急箱と青灰色の布を静かに配置した備えのイメージイラスト
「医療保険って、本当に必要なの?」

ゼロにはせず、最低限だけ残しました。

決め手は、高額療養費制度です。医療費の自己負担には、月ごとの上限があります。100万円かかっても、自己負担は月9万円台(わが家の想定条件)。そこまでは、貯蓄で備えられます。残したのは「先進医療」と「がん診断一時金」だけ。月9,567円が、月1,300円になりました。

まず、Before:当時の医療保険・がん保険を「全部書き出す」

生命保険のときと同じく、見直しの第一歩は 今入っている保険を全部書き出すこと。

夫婦それぞれの保険証券を引っ張り出し、保険種別ごとに合計すると、こんな状況でした。

保険の種類 夫婦合計の月額保険料
医療保険 約5,200円
がん保険 約4,300円
合計 9,567円(年 約114,800円)

いずれも終身型(一生涯保障)の保険でした。主な保障は、入院日額1万円 と 先進医療特約(公的医療保険がきかない、高度な治療に備える特約)。生命保険ほどの大きな金額ではありませんが、毎月固定で出ていく9,567円は、家計のなかで見過ごせない存在でした。

そして気づきました。生命保険を見直したのなら、医療保険・がん保険も同じ視点で見直すべきだ、と。


同じ「考え方」で見直す

生命保険編で整理した考え方に立ち返ると、保険を見直す出発点はこの一文。

公的補償でカバーされる部分は外す。
「自分で備えられない、大きな損失」だけを、保険で備える。

医療費にも、この物差しを当てはめてみました。

  • 病気や怪我で発生する医療費は、公的補償でどこまでカバーされるのか?
  • 自分の貯蓄では備えきれない金額は、いったいいくらなのか?
  • そのギャップを埋めるために、本当に月9,567円の保険が必要なのか?

問いを立て直したら、答えはずいぶんクリアになっていきました。


公的補償の確認 ── 国民皆保険制度

まずは、自分たちがどんな公的補償を受けられるのか、改めて確認しました。

日本は 国民皆保険制度の国。職業に応じて、必ず何らかの公的医療保険に入っています。

立場 加入する公的医療保険
会社員・公務員 健康保険組合・協会けんぽ
自営業・フリーランス 国民健康保険
75歳以上 後期高齢者医療制度

医療機関の窓口で支払うのは、原則 医療費の3割(現役世代の場合)。残り7割は公的保険でカバーされます。

「100万円の医療費がかかっても、窓口で払うのは30万円」 ── まずこの大きな前提を、改めて意識しました。

ここまでは、よく聞く話です。でも、本当に頼りになるのはこの先 ── 高額療養費制度でした。


高額療養費制度 ── 1ヶ月ごとに自己負担の「上限」がある

ここから出てくる自己負担額は、2026年8月に改定されたあとの制度によるものです。想定しているのは、標準報酬月額28万〜50万円・70歳未満という、会社員に多い区分です。所得や年齢で上限は変わるので、ご自身の区分は、お使いの健康保険組合や協会けんぽのサイトで確認してみてください。

3割負担といっても、月に30万円の出費はやはり大きい。

そこで頼りになるのが、高額療養費制度。1ヶ月(月初〜月末)の自己負担額が一定の上限を超えると、その超過分は払い戻される仕組みです。

ここで大事なのは、「1ヶ月ごとに上限が設定されている」こと。月をまたぐと、また新たに上限が適用される点には注意が必要です。

この想定条件では、1ヶ月の自己負担上限は 85,800円+(医療費−286,000円)×1% で計算します。

具体例で見てみましょう。

1ヶ月で100万円の保険診療がかかった場合(上記の想定条件)
窓口負担:30万円(3割)
↓ 高額療養費制度を申請
最終的な自己負担:約9万3,000円

わが家はこの具体例を見て、民間保険だけでなく、まず公的制度を確認してから必要な保障を考えることにしました。

多数回該当 ── 条件を満たすと、4回目以降の上限が下がる

「では、治療が長引いて何ヶ月も続いたら?」という不安にも、ちゃんと制度が用意されています。

それが 多数回該当。同じ世帯で、直近12ヶ月に3回以上高額療養費の支給を受けた場合のことです。4回目以降の月の自己負担上限は、44,400円になります(2026年8月の改定後・上記の想定条件)。

長期治療でも、条件を満たした月は自己負担上限が下がる。

ただし、治療が長引けば自動的に適用されるわけではありません。回数の数え方や世帯合算の条件も含め、加入先で確認する必要があります。

2026年8月から、「年間の上限」もできた

2026年8月の改定で、月ごとの上限に加えて、1年間の自己負担にも上限が設けられました。

上記の想定条件(標準報酬月額28万〜50万円)なら、年間53万円。所得区分によって、29万円〜168万円の幅があります。

月ごとの上限だけを見ていると、治療が月をまたいだときに総額がいくらまで膨らむのかが分かりません。年間の上限は、その「最悪どこまでいくのか」を示す数字です。医療保険で備えるべき金額を考えるときは、こちらのほうが使いやすいと思います。

高額療養費の上限に含まれない費用もある

高額療養費制度の対象になるのは、原則として公的医療保険が適用される診療費です。わが家では、次の費用は別に備える必要があると整理しました。

  • 差額ベッド代
  • 入院時の食事代
  • 先進医療の技術料
  • 通院交通費や、休業による収入減

また、月をまたぐと上限は月ごとに計算されます。制度だけで全費用が収まるとは考えず、対象外の費用と収入減も含めて判断しました。

なお、2027年8月には所得区分の細分化が予定されています。本記事の数字をそのまま将来の判断に使わず、見直し時には厚生労働省の最新情報をご確認ください。


加入先によって異なる ── 健康保険組合の「付加給付」

一部の健康保険組合には、国の高額療養費制度に上乗せする独自の付加給付があります。

見直し時に確認したところ、わが家の加入先にも付加給付がありました。 内容は組合ごとに異なるため一律の金額では判断できませんが、「あるかどうか」を先に確かめる価値は大きいです。

確認先は、加入している健康保険組合の公式サイトや「健保のしおり」です。転職や退職で加入先が変われば条件も変わるため、民間保険を見直すたびに再確認する前提にしました。

制度の上限と対象外の費用を確認したうえで、次にわが家の貯蓄から負担できる範囲を考えました。


「自分で備えられる」範囲を見極める

わが家には、生活費6か月分の生活防衛資金があります。

もしも夫婦どちらかが病気になっても、一定額までなら貯金で負担できると判断しました。

これは大きな前提でした。

保険は「自分で備えられない損失」のためにある。
わが家では、自分で備えられる範囲は、保険料を払い続けるより貯蓄で備えることにした。

月9,567円を 20年払い続ければ、約230万円。

「まさに今、保険で備えようとしている金額」を、保険料そのもので払い終えている計算になります。

数字を整理した瞬間、答えは見えてきました。


わが家の判断 ── ゼロ解約ではなく「最低限」に絞る

椅子に掛けた一枚のブランケットと柔らかな光を描いたイメージイラスト
ゼロにするより、納得できる備えを残す。[イメージイラスト]

ここで、ひとつ大事にしたかったのが「ゼロにしない」という判断でした。

制度と貯蓄だけで備え、医療保険・がん保険をすべて解約する選択肢も検討しました。

でも、頭で分かっていても、「がんの宣告を受ける」「長期入院になる」と想像すると、ふっと不安が湧くのも事実。

この不安は、理屈だけで消しきれるものではないのだと思います。だから、無理にゼロを目指すのはやめました。合理性を突き詰めて不安を抱え込むより、少しの保険料で心が落ち着くなら、それはわが家にとって意味のある支出です。

「完全に削る」ことが目的ではない。
「正しく削って、必要な分だけ残す」 ── これが、保険見直しのバランス感覚。

そこでわが家が選んだのは、こんな組み合わせでした。

見直しの軸は、「終身」から「定期」へ。一生涯、高い保険料を背負い続けるのではなく、ライフステージに合わせて、必要な期間だけ備える。そういうスタイルに切り替えました。これは、生命保険編で得た学びを、医療保険・がん保険にも応用した形です。

残した医療保険(夫婦合計で月約800円)

定期型の医療保険で、入院給付・手術給付・先進医療を 最低限のラインだけカバーする商品。

  • 入院給付:日額 数千円
  • 手術給付:10万円程度
  • 先進医療:1,000万円程度を上限

入院日額は1万円から数千円へ、思い切って縮小。「入院になっても、貯金で大部分をカバーできる」と整理した上で、先進医療の保障は残す判断にしました。

先進医療の技術料は公的医療保険の対象外です。「自分で備えにくい部分」だと考えたため、わが家ではこの保障を残しました。

残したがん保険(夫婦合計で月約500円)

こちらも定期型のがん保険。がん診断時に100万円程度の一時金を備える、シンプルな商品。

  • がん診断一時金:100万円程度

がんの治療は、入院だけでなく通院・抗がん剤治療・収入減など、トータルでの負担が読みづらい性質があります。「いざというとき、まとまった一時金が下りる」という安心感は、自分で全部備えるより保険に任せたいと判断しました。

医療保険・がん保険、合わせて 月1,300円(年間 15,600円)。


Before/After ── 月約8,300円・年約10万円の節約

数字でまとめると、こんな結果になりました。

切り替え前 切り替え後
医療保険(夫婦合計) 約5,200円 約800円
がん保険(夫婦合計) 約4,300円 約500円
月額合計 9,567円 1,300円
年額合計 114,804円 15,600円
節約額 – △8,267円/月・△99,204円/年

この差が10年続けば、単純計算で約99万円。もちろん保険料も保障内容も更新のたびに変わりうるので、「そのくらいのインパクトがある」という目安として見ています。

そして大事なのは、保障をゼロにしたわけではないこと。

  • 入院時は、最低限の保険給付 + 高額療養費制度 + 貯蓄を組み合わせる
  • 先進医療やがん診断時の一時金は、保険でしっかり備えてある
  • それでも、保険料は約7分の1に

「必要最小限の備えを残しつつ、保険料は最小化する」── わが家にとって、納得のいくバランスでした。


迷ったときに、わが家が紙に並べた5項目

医療保険・がん保険は、商品名や用語だけを追うと迷いが増えました。そこで、保険証券と公的制度の資料を見ながら、次の5項目を同じ紙に並べました。

  • 現在払っている月額・年額保険料
  • 入院日額、手術給付、がん診断一時金などの現在の保障
  • わが家の所得区分で想定される高額療養費の上限
  • 差額ベッド代、食事代、先進医療、収入減などの制度対象外の費用
  • すぐ使える貯蓄と、理屈だけでは消えない不安に対して残したい保障

この5つを一枚で比べると、「全部残す」「全部やめる」の二択ではなくなりました。貯蓄で負担する部分と、保険に任せる部分を分けられたのです。わが家が月1,300円を残したのは、最安を探した結果ではなく、この線引きをした結果です。


やってみて気づいた、3つのこと

01わが家は、公的補償の確認から始めた

高額療養費制度の存在を改めて知ったとき、率直に驚きました。

上記の想定条件なら、100万円の保険診療に対する自己負担は約9万3,000円。

「医療費は青天井」と漠然と思い込んでいたところに、しっかりと 上限が設定されている。これを知っているか知らないかで、保険に対する向き合い方が大きく変わると実感しました。

02「貯蓄で備える」は、立派な選択肢

保険料は、毎月支払う 確実なコスト。

一方、貯蓄で備える場合は、いざ使うときまで、そのお金は自分の手元にある。

「保険料として消えていく」のか、「自分のお金として手元に残る」のか。

同じ金額でも、意味合いは異なります。わが家では、一定額までは貯蓄で備えるほうが納得できました。

03「削る勇気」と「残す冷静さ」の両方が大事

制度と貯蓄だけで備える考え方もありますが、わが家は全部やめると不安が残ると感じました。

でも、人間の不安は、数字だけで割り切れないもの。

「最低限の保険を残しておく」という選択は、家計だけでなく 心の安定にもつながりました。

保険は「正解」を求める商品ではなく、「納得」を選ぶ商品。

わが家にとっての納得は、月1,300円という小さな保険料に行き着きました。


まとめ:わが家は医療保険・がん保険を「最低限」に絞った

医療保険・がん保険は、ゼロにせず最低限だけ。高額療養費制度で足りない分だけを、保険に任せました。

医療保険・がん保険の見直しは、生命保険編に比べると地味な節約かもしれません。

でも、毎月の固定費としてジワジワ響いてくる存在であることは確か。

  • 公的補償(特に高額療養費制度)の威力を知る
  • 自分で備えられる範囲を、貯蓄で線引きする
  • それでも残しておきたい「先進医療」「がん診断一時金」だけは保険で備える

この3ステップで、月9,567円が 月1,300円に。年間約10万円が家計に戻ってきました。

「医療保険、なんとなく続けてるな」と感じる方は、まずは 今入っている保険を全部書き出すところから始めてみてください。

書き出すだけで、半分は見直しが進んでいる ── そう感じます。

🌱 最後に、ひとつだけ

いま入っている医療保険の「入院日額」や特約を、一度確認してみてください。そのうえで、高額療養費制度の自己負担上限(多くの会社員で、医療費100万円なら月9万円台)と見比べてみてください。“本当に必要な保障”の輪郭が見えてきます。急いで解約せず、まず知るところからで大丈夫です。

明日もまた、歩きながら考えます。


はいと はいと
40代・4人家族の会社員。
お金の知識がなかった、あの頃の自分に向けて書いています。

※本記事の試算は、2026年8月に改定された制度に基づきます(2026年9月確認)。2027年8月には所得区分の細分化が予定されているため、判断前に厚生労働省の最新情報をご確認ください。


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